足関節捻挫について4 足部・足関節の筋力強化
足関節捻挫について第4回は足部・足関節の筋力強化についてです。
リハビリを行うにあたって、足部・足関節の筋力は重要です。
内側に捻じってしまったから、足首の外側を鍛えましょうという安易なリハビリでは効果はありません。
足部の機能を考えて筋力強化をする必要があります。
そのため、内反捻挫の受傷機転をもう一度おさらいし、それを防ぐための筋発揮と考えなければなりません。
受傷機転のほとんどは底屈位・内反・後方重心です。
以前のブログを参照にしてください 「足関節捻挫について1 解剖と概論」
例えばジャンプの着地で、後方重心・底屈位の状態で外側(小趾側)から着地するとします。そのベクトルで加速度が加わり、制御できない場合に足首を内側に捻ってしまいます。
大切なのはその状態で着地しないことですが、制御できていれば捻らなかったかもしれません。
「小趾球に体重が乗ることを制御する必要がある」ということを覚えておいてください。
内反捻挫後に腓骨筋を鍛えることは容易に想像できます。足首の外側の筋を鍛えることは間違っていません。
腓骨筋は短腓骨筋と長腓骨筋があります。これらを区別して鍛えていますか?
短腓骨筋は第5中足骨底部に付着します。付着部に抵抗をかけ運動方向は外返しです。外果と第5中足骨底部が近づくように動かしてください。
長腓骨筋は内側楔状骨・第1中足骨底部に付着します。付着部に抵抗をかけ、運動方向は外返しですが、短腓骨筋よりももっと底屈方向となります。
(このブログは写真などを添付できないのが残念です)
足の裏から内側楔状骨・第1中足骨底部に抵抗をかけ、運動方向も意識して鍛えましょう。母趾を押し込むようなイメージです。
底屈位をきちんと意識して外返しを鍛えるまで区別しましょう。
しかし、小趾球に腓骨筋群は付着していません。腓骨筋群がはたらいていても小趾球まで力は及んでいません。
そこで大切なのが、小趾外転筋です。
腓骨筋群での力を小趾球まで伝達するには、足趾の力が必要なのです。
足趾を鍛えるにはタオルギャザーが有名です。握るだけでなくしっかり開くを意識して行いましょう。
足趾にも下腿から始まる外来筋(長母趾屈筋や長趾屈筋など)と足部にある内在筋(短趾屈筋や骨間筋、虫様筋など)を区別していますか?
足首を上にして(背屈して)足趾全体を曲げてみてください。しっかり力が入ります。母趾の第1関節まで曲げられます。
では、足首を下にして(底屈して)足趾全体を曲げてみてください。さきほどより力が入らないですよね。母趾の第1関節を曲げられない人がほとんどだと思います。
底屈位にすると屈筋の外来筋が使えないからです。
タオルギャザーを行う場合、足関節の向きを背屈位・底屈位それぞれで行ってください。小趾外転筋は内在筋です。底屈位での屈筋群をしっかり鍛えることが基本となります。
内在筋が使えないと小趾外転筋もはたらきにくくなります。小趾を外転できない人も多くいます。しっかり内在筋を鍛えれば開くようになる人もいます。
小趾がしっかり外転できるようになれば、最大底屈位で小趾球に抵抗をかけ、小趾外転の力を入れながら外返しを鍛えてください。
腓骨筋群の筋発揮と小趾外転筋とのはたらきがあって、内反捻挫のための筋力強化となります。
外側だけでこれだけのことをしなくてはなりません。
足部・足関節の筋力強化には、まだ内返し・背屈・底屈方向が必要になります。
足部のアーチも大切な要素となります。
外側以外の方向も考え方は同じです。筋の付着部と運動方向を考えること。足趾まで力を伝達させることです。
そしてここから、立位での訓練やバランス訓練につなげていきます。
重心の制御のための訓練となるのです。
次回のブログは立位・バランス訓練リハビリについて書いていきます。