腰痛について3 腰椎椎間板ヘルニアのリハビリでの注意点
前回のブログでは腰痛の中でもポピュラーな腰椎椎間板ヘルニアについて紹介しました。
前回のブログも参照にしてください 「腰痛について2 腰椎椎間板ヘルニアの概論」
今回は腰椎椎間板ヘルニアのリハビリについて紹介したいと思います。
腰椎椎間板ヘルニアのリハビリで最も重要なことは、「症状を悪化させないこと」です。
椎間板が後方の神経を圧迫して、下肢に症状が出ているということについては、リハビリで改善するものではないからです。
そこで大切なのは「適度な安静」となります。
椎間板にとって負荷のなるのは荷重です。腰部に体重が乗ることで圧迫ストレスがかかります。寝ていることが一番楽ということになります。腰痛が強い場合は、寝ていても辛いこともありますが。
それこそ、寝ているだけでは生活ができません。安静でも「適度な」という意味は「痛みを極力出さない」ということかもしれません。
痛みやしびれの症状こそ「適度」のバロメーターとなります。
適度な安静は簡単そうで難しいことであって、一番大切なことなのです。
腰痛だけでなく下肢の症状と、感覚・筋力・腱反射などが正常に近づいてきたときに次のステップに入ります。
前回のブログでも紹介しましたが、腰椎椎間板ヘルニアの好発部位は下位腰椎(L4/5またはL5/S1)となります。下位腰椎が過度に動き過ぎてしまうことでそこにストレスがかかります。
そこで、次のステップは「下位腰椎以外の柔軟性の改善」となります。
腰椎椎間板ヘルニアや一般的な腰痛にも限らず、全身の不調について大切な考え方です。
ストレスがかかっている箇所には症状が出てきますが、原因はそこ以外にあるケースがほとんどです。
特に股関節の可動域が大切となります。股関節の柔軟性の獲得が求められます。
股関節の柔軟性といっても、股関節が硬い場合、下肢の筋が硬い場合など原因は異なります。可動域訓練やストレッチを行いますが、経験上可動域の改善が必要な場合が多いと感じています。
股関節の柔軟性の改善はできるだけ初期に行っておきたいものです。腰痛や下肢痛を起こさないように早期から獲得できると良いでしょう。
次のステップは体幹の強化です。特に腹筋群になります。
腹筋の中でも大切なのが腹横筋です。第1腰椎~第5腰椎から始まり、腹部全体をぐるっと1周覆う腹横筋は、腰椎全体を安定させるはたらきがあります。過度にかかる下位腰椎のストレスを腹横筋で保護するような考えです。
腹横筋の機能改善には「ドローイン」や「ケージダウン」が有効です。以前のブログも参考にしてください
腰椎椎間板ヘルニアの場合、腹圧を高めすぎると腰痛や下肢痛の症状を悪化させてしまうこともあります。
腹横筋の筋トレというよりは、腹横筋を使うという感覚で行ってみてください。
適度な安静で症状の回復を待つ
股関節など該当部位以外の柔軟性の改善
腹横筋など体幹の安定性の向上
この順番が大切で、間違えると症状の悪化を招くことになるかもしれません。繰り返しますが、ヘルニアそのものをリハビリで治すことはできないので、その時の最適なリハビリを選ぶことができるかがカギとなります。
そして、ダイエットや腰部に負担のかからない生活・仕事での動作を考えていくことになります。
腰痛はさまざまな疾患が隠れています。実際には原因がはっきりしない「非特異的腰痛」がほとんどです。
原因を探り、状況に合わせた対応をしていくことが求められます。