腰痛について5 腰椎分離症のリハビリ
腰痛の中でも成長期のスポーツ障害として腰椎分離症をトピックスに前回のブログを更新しました。
今回は腰椎分離症のリハビリについて述べていきたいと思います。
前回のブログはこちら 「腰痛について4 腰椎分離症の予後」
腰椎分離症のリハビリで大切なことは大きく分けて2つあります、腰痛があるのかないのかの症状だけではありません。
1 身体機能面での問題を解決する
2 腰椎分離症ときちんと向き合う
1 身体機能面での問題を解決する
腰椎分離症の病態において、過度な腰部の伸展・回旋で腰椎の後方にストレスがかかるということを知っておくべきです。
腰椎は5つあります。
腰部全体で屈曲・伸展は65°行います。その半分はL4/5とL5/S1間の下位腰椎で行われています。
腰部全体で回旋は5°しか行えません。腰椎それぞれが1°ずつしか回旋しません。
これ以上の動きが「過度」となるわけです。
スポーツ動作は全身運動です。腰部だけに動きが集中することがストレスとなります。
腰部の動きに負荷がかからないようにする、最低限必要な動きは「股関節」と「胸椎」です。腰部の上下の動きに制限があると、腰にストレスがかかるのです。
股関節と胸椎の可動域はどんなスポーツでも必須です。腰部のストレス軽減のためにこれらの可動域制限を解消しましょう。
次に、下位腰椎のみ過度に動いてしまわないように、腰部と固定する力が必要です。それが腹横筋をはじめとする腹筋群の強化です。
腹横筋は5つの腰椎に付着しています。腹横筋がはたらくことで5つの腰椎を1つのユニットとして安定させることができます。
腰椎分離症の身体機能を改善するにあたって必要なことは
股関節・胸椎の可動域と腹筋群の強化になります。
joint by joint理論でも股関節は可動性、腰椎は安定性、胸椎は可動性と定義されます。
まさしくその通りです。
2 腰椎分離症ときちんと向き合う
前回のブログで述べた通り、腰椎分離症とは簡単に言うと腰椎の疲労骨折です。骨の癒合を待たなくてはなりません。
初期でも3カ月、進行期であれば半年くらいスポーツができません。
成長期のスポーツ障害なので、運動部の学生が腰椎分離症になります。
思春期の時期に休むということの重要性が理解できるかが一番のキーポイントとなります。
例えば、中学3年生うちの半年を休めるのかが求められるのです。
レギュラーもとられてしまうかもしれません。最後の大会に間に合わないかもしれません。
それでも休まなくてはならないことを十分に説明することからリハビリが始まります。
私の経験上、本人はもちろん保護者にも説明しますし、指導者にも理解を求めます。
リハビリで最初に関わった日には、この説明だけでもかなりの時間を割くことにしています。
腰痛があるかないかは、スポーツ復帰の判断基準にはなりません。
このことが理解できれば、リハビリは問題ありません。身体を変えるのに3カ月以上の時間の猶予があるからです。
復帰時期には以前よりも身体が変わっていないといけません。分離症になった原因を全て取り除いてから復帰となります。
しかし一番大切なのは、分離症を向き合って時間スポーツができなかったことを乗り越えた精神力の成長だと思います。
だからこそ、初回に接したときには時間をかけて説明する必要があるのです。
今まで、何人もの中学生や高校生の腰椎分離症のリハビリを担当してきました。レベルの高いチームでスポーツをしている学生ほど理解して取り組んでくれたと思います。
たとえ中学や高校でスポーツができなくても、その先を見ている学生だったからだと思います。
腰椎分離症に限らず、リハビリに取り組む姿勢や考え方の変化があれば、身体は変わっていくものだと感じています。