理学療法士としてスポーツに関わるということ

2019/08/01 ブログ
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スポーツ障害について、全般的に取り組み方の考えを述べていきたいと思います。

 

まず、言葉から整理しましょう。

 

 

「スポーツ傷害」とはスポーツによる運動器の怪我(外傷)と、スポーツを続けることで現れる使い過ぎ症候群(障害)の総称と言われています。

 

スポーツ傷害=スポーツ外傷+スポーツ障害

 

このように捉えてもらいたいと思います。

例えば、運動中に足首を捻ったなどの捻挫は「スポーツ外傷」、疲労骨折など使いすぎることで徐々に起こってくる問題は「スポーツ障害」ということです。

 

 

一発で痛めてしまっては防ぎようがないことが多いですが、その動作を避けることができたとしたら、スポーツ外傷も予防できる可能性があります。

それだけに反則などのコンタクトで痛めてしまった場合は厳しく取り締まる必要があります。相手を傷つけるような危険な行為は、審判が試合をコントロールして未然に防ぐ必要があります。

 

 

 

理学療法士として、スポーツに関わるとしたらどんな準備が必要か、私が学生のときに指導者から言われたことを今でも覚えています。

スポーツ傷害に対応するには2つの観点を知っておかなくてはなりません。

 

 

 

 

1 競技に特有の傷害を知っておくこと

 

例えばサッカーであれば、どんな怪我が多いのか。肉離れ、膝の靭帯損傷、半月板損傷、足関節捻挫などがサッカーには多い傷害です。グローインペインという言葉を聞いたことがある人はサッカーに詳しいかもしれません。

サッカーという動作が身体のどこに負担がかかるのかを知っておく必要があります。競技が違えば傷害も変わってきます。

サッカーに野球肘の傷害は起こらないのです。

 

 

 

2 その競技に復帰するという目標があること

 

競技特有の傷害を知っていることを基本として、リハビリを行う上で、その競技に復帰する目標を常に念頭に置かなくてはなりません。

怪我からの回復は競技が異なっても変わらないですが、競技復帰するに向けて求められる身体機能は変わってきます。

怪我が治ればおしまいではなく、スポーツができることがゴールです。サッカーができる身体になるまでリハビリは続きます。

(リハビリ、アスレティックリハビリ、リコンディショニング、コンディショニング、トレーニングなどの言葉が氾濫していますが、どんな表現でも同じだと思います)

 

 

 

 

このことは似てはいますが、分けて捉えるようにしています。

 

要するにその競技のことを詳しく知らなければ、スポーツ傷害に対応できないということです。

 

 

 

 

どこまでその競技を知る必要があるかに、私個人的な基準があります。

 

「指導者と同じレベルで話ができること」です。

 

 

 

「理学療法士でもトレーナーでもメディカル部門で関わる人、監督・コーチなど指導者として関わる人が共通のレベルで話ができ、なおかつそれぞれの専門分野には信頼を置いて干渉しない」

この距離感が最も適していると思います。

 

 

それには自分の勝負ができる分野でのスキルとコミュニケーション能力が必要です。どちらかひとつでもダメです。

 

 

 

 

私のケースではありますが、私個人的にサッカーを競技ど行ったことはありません。

しかし、関わったチームの指導者にも恵まれ、高いレベルのサッカーに携われました。

 

サッカーを知らなければ、指導者と共通の話ができなかったのです。戦術や練習の意図などがわかっていなければついていけないので、ひたすらサッカーを見ていた記憶があります。

 

 

そこで怪我をした選手を担当するわけですし、そのレベルに戻さなければなりません。

もちろん選手とも同じレベルで話をしなくてはなりません。

 

ただ走れるではなく、このチームはスプリントが多いとか、このポジションは倒れてはダメだとか、戦術に応じて求められることも違います。

指導者が変われば関わり方も変わるほど知っていなくてはなりません。

 

 

理学療法士としてスポーツに関わるということは、ただ怪我の回復のリハビリをするとは全く違います。

 

 

 

 

おかげさまで、自分がサッカーをできなくても、目は肥えました(笑)

おかげさまで、フットサルのチームのトレーナーとして初めて競技を見たときに、あまりの違いに愕然としました(笑)

 

 

 

 

スポーツの分野で理学療法士の活躍の場は広がっています。

理学療法士に限らず、いろいろな人がスポーツを支えています。

 

資格は何であれスポーツに関わるということは、その競技を知っておくことが最低限の条件だと思います。

 

これからスポーツに関わりたいと思っている学生がいたら、このことは是非覚えておいてください。