スポーツ障害 投球障害について1
夏の全国高校野球選手権、いわゆる今年の甲子園も幕を閉じました。
例年ピッチャーの傷害についての議論がされている中で、今年も話題を呼んだ一コマがありました。
大船渡高校の佐々木投手が県大会の決勝に登板しなかった話はご存じの方も多いを思います。
佐々木投手に限らずピッチャーの起用には各高校で課題となっているでしょう。
高校野球に限らず、成長期の学生にとって将来を怪我で台無しにすることはあってはならないことです。
そのために、大会を開催する側の工夫が必要だと思います。
その中で投球数を制限するといった議論があります。一試合で投げられる投球数を大会で制限するという規定です。
アメリカで行われている「ピッチスマート」をご存じでしょうか。
2014年にアメリカ大リーグが打ち出した、成長期におけるピッチャーの投球数の規定です。
以下がピッチスマートの基準です。
①1日の最大投球数 ②0日間の休養 ③1日間の休養 ④2日間の休養 ⑤3日間の休養 ⑥4日間の休養
7-8歳 ①50球 ②1-20球 ③21-35球 ④36-50球
9-10歳 ①75球 ②1-20球 ③21-35球 ④36-50球 ⑤51-65球 ⑥66球以上
11-12歳 ①85球 ②1-20球 ③21-35球 ④36-50球 ⑤51-65球 ⑥66球以上
13-14歳 ①95球 ②1-20球 ③21-35球 ④36-50球 ⑤51-65球 ⑥66球以上
15-16歳 ①95球 ②1-30球 ③31-45球 ④46-60球 ⑤61-75球 ⑥76球以上
17-18歳 ①105球 ②1-30球 ③31-45球 ④46-60球 ⑤61-80球 ⑥81球以上
アメリカではこのピッチスマートに従っています。
日本では普及していません。
成長期の学生が行う野球の文化が違うからです。
甲子園でピッチスマートが導入された場合、81球以上投げた投手は、4日間投げられなくなります。
これで甲子園の感動が生まれるでしょうか。
エース級の投手を3~4人そろえられるでしょうか。
エースピッチャーを降板させるためにわざとファールで粘ることもできます。
次の試合日がチームで変わってくるため、休養日に差が出てきます。
こんなことを計算していては、やる方も見る方もつまらなくなります。
投球障害に関わる要素としては以下のことが挙げられます。
1 投球数
2 投球強度
3 投球間隔
4 投球フォーム
5 身体的個別性
投球数はこのうちの一つでしかありません。
それぞれについての見解は今後のブログで述べていきたいと思います。
どんな方法にしても、選手ファーストということを忘れてはいけません。