スポーツ障害 投球障害について2
前回のブログでは成長期における投球障害について述べました。
高校野球で投球数が話題になっていますが、投球障害において投球数はひとつの要素に過ぎません。
前回のブログ 「スポーツ障害 投球障害について1」
投球障害は以下の要素を合わせて考える必要があります。
1 投球数
2 投球強度
3 投球間隔
4 投球フォーム
5 身体的個別性
投球数と投球間隔は大会主催側、指導者が検討すべき内容です。肘や肩を壊さないような予防においては、投げないことが一番です。大会の規定で投げられないようにしてしまう、投手を出場させないといった規則を作れば、投げずに済むわけです。
1試合の投球数を制限する、大会の日程を伸ばすなどの主催側の対応と、1人で連投させないようなチーム方針について指導者の取り組みが必要です。
と、簡単に言ってもこれがなかなか解決できないのが現状でしょう。大会主催側にも事情がありますし、チームにも事情があります。これが簡単にできないから議論が尽きないのだと思います。
投球強度については、投手本人と指導者で解決できる問題です。
同じ投球数でも100%の力で投げているのか、80%に抑えて投げているのかで、肩や肘にかかる負担は変わってきます。
要は、投球技術です。勝つことが最低限の目標ですが、力を抑えても打たれないような投球技術で障害を防ぐこともできるはずです。不要な投球を避けたり、打たせて取るといった技術もあれば、投球数自体も減らすことができます。
これも簡単ではありませんが、自分の身体を守るためには身につけるべき技術だと思います。
そして、投球フォームと身体的個別性については、トレーナーなどのメディカルで対応できる問題です。
肩や肘に負担のかからない投球フォームを習得することと、パフォーマンスを上げることに一致点は多いと思います。肩や肘に負担がかかっているような投球フォームは、できれば小学生のうちに直しておくべきだと考えます。
小学生や中学生では、成長に個人差が多く出る年代です。成長期に合わせたトレーニングや技術を知っていなくてはなりません。その専門家がトレーナーだと言えます。
小学生のチーム(部活やクラブチーム)にトレーナーがいるでしょうか。また、身体づくりが大切な年代だと知っている指導者がどれだけいるでしょうか。
これは発信するべきトレーナー側の問題でもありますが、勝利至上主義な指導者の問題でもあります。
成長期の投球障害をいいかに防ぐか。
総合的に検討する必要があるでしょう。その中でも一番大切なのは、小学生年代でどれだけ意識ができる選手を育てるかだと考えています。
将来プロ野球選手になりたいと夢を見ている小学生のために、障害で断念せざるを得ない選手を減らすために。
甲子園での投球制限をどうするかよりももっと前に取り組むべき問題だと思います。
大会を主催する側、指導者、メディカル、選手本人、保護者みんなでチームを組んで立ち向かう問題であり、答えは小学生年代にあるのではないかと発信しておきます。