治療家として通る道

2019/10/15 ブログ
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今回のブログは少し愚痴みたいになってしまいますが、お付き合いいただければと思います。

 

 

理学療法士に限ったことではないですが、日々勉強することは怠ってはいけません。

特に治療家としては、勉強に終わりはありません。

 

私自身もいつも新しい情報や知識・技術を身につけるように励んでいます。

 

 

以前は文献や本、勉強会などで情報を得ていたのですが、最近は動画などで情報を得ることが簡単になってきました。

 

動画では、欲しい情報以外にもいろいろな情報が入ってきます。

治療家(理学療法士・柔道整復師・カイロプラクティックなど)やトレーナー、ヨガインストラクターなど、いろいろな人が、いろいろなことを言っています。

 

 

動画再生回数を上げたいのか、目につくようなワードを並べて自由に発言しています。

 

 

 

よく目にするのが、「痛みの原因は患部にはない」「根本治療できなければ治療家ではない」といった表現です。

 

腰が痛いから、薬やマッサージをしているだけでは痛みはとれない。

「あたかも魔法のように痛みがとれる方法があります」みたいな表現を自慢するかのように発信しています。

 

 

 

 

当院のブログなどを読んでいただいている方なら、私がこれに対してどう言いたいのかわかると思います。

 

 

痛みをとることが治療家なら、私は治療家ではないかもしれません。

その真意は痛みをとることができないからという意味では決してありません。

 

 

 

 

 

私は理学療法士の資格を持っているので、理学療法士について述べます。

多くの理学療法士はこのような経験を経ていると思います。

 

 

 

① 学生時代に苦労して、基礎を学ぶ

② 臨床に出てすぐは、治療としてどのようにしていいかわからない

③ 勉強会などで知識と技術を学ぶ

④ 徐々に自分の手で治療効果を実感してくる

 

ほとんどの場合、臨床経験3年くらいでこの状況になってくると思います。

私もそうでした。

 

 

ここから、2つに分かれていくのではないでしょうか。

 

 

A 痛みをとることに喜びを感じ、さらに勉強に励む

B 痛みをとればとるほど、違う問題点に悩むようになる

 

 

 

そこで上記の話に戻りますが、「A」に治療家としての喜びを見出した場合に「根本治療」という表現を「痛みをとること」という意味で用いるのだと思います。

「対処療法ではなくて、患部以外の根本を治す」

そのための知識・技術を高めるように励むようになっていきます。

 

 

このこと自体は大いに必要なことです。

問題は、このことが治療家と思っていること、痛みがとれないのは治療家ではないと思っていることにあります。

 

 

「A」は通過点です。99%の痛みをとれるようになったとしても(100%はあり得ません)、通過点です。

このことに気付いたときに行動が変わります。

 

 

 

 

経験豊富な理学療法士は、どんどん患者さんに手をかけなくなっていきます。

 

患者さんや家族の困っていることは何か。

自然に治っていくものと、どんどん悪くなっていくことをしっかりと把握し、患者さんにとって今一番必要なものを的確に提供していきます。

 

 

 

自然に治っていくものを、患者さん自身が妨げているケースを多く経験します。

多くの場合、痛みをこらえて頑張っている人です。

 

 

痛みを自分から増幅させています。痛くても足を引きずってでも歩くことが早く良くなることと思っています。

 

 

 

 

これは病院でリハビリしている人に限ったことではありません。

日々家事や仕事をしている人にも同じことが言えます。どこか痛みを抱えて頑張っている人です。

 

 

 

経験豊富な理学療法士は、どうすればこの人が望む状況になれるかを見ています。

「A」に意味を見出している理学療法士は「B」の先輩を見てイライラしているかもしれません。

 

 

 

「A」は痛みをとることができます。

理学療法士として何かの手技を持ちいて、痛みをとって歩かせることができます。

 

「B」も痛みをとることができます。

歩いて痛いのであれば、歩かない方法もあることを示します。自然に治っていく過程をしっかりと示します。

逆の言い方をすれば、歩かないと悪くなっていくと判断できるものについては、痛みをとって歩くという方法をいつでも用いることができます。

「A」を通過点として経験しているからです。

 

 

 

 

私も今までに多くの理学療法士と仕事をしてきました。

いろいろなタイプの理学療法士がいます。

 

患者さんのためにと思って仕事をしていることには変わらないので、そこは安心してください。

 

 

あなたなら「A」タイプと「B」タイプのどちらの理学療法士に担当してもらいたいですか?

 

どちらが正解という意味ではありません。

とは言っても、多くの場合患者さんは担当を選べないですけど…

 

 

もしこれを読んでいるのが、治療家だったら

あなたなら「A」タイプと「B」タイプのどちらの治療家を目指しますか?